魏 斌
電子機器內部の情報処理速度の急増に対応するために,従來の電気配線の代替として新たな光配線が期待されている.われわれは,フレキシブル基板上に有機発光/受光素子や高分子導波路を直接形成したフレキシブル光配線の開発を進めている.この光配線はフレキシブル基板上に直接,かつ薄く形成できるという利點を有しており,実裝領域が狹い電子機器內部に用いる光配線として有望であると考えている.本稿では,共振器構造を利用した有機LEDの発光効率や指向性,応答速度について報告する.
Nd-YAGレーザと比較して微細加工化や小型化,高効率化に利點を持つファイバレーザは,次世代レーザ加工機用レーザ光源として期待されている.とりわけ,レーザマーキングは,微細印字化の要求が高く,ファイバレーザの利點を生かしたアプリケーションである.今回,當社では,當社獨自構造の多孔石英管を用いたポンプコンバイナを搭載した10W級のパルス出力イッテルビウム添加ファイバレーザを開発したので報告する.これはビーム品質に優れ,レーザマーキング加工用途を主ターゲットとしている.
光送受信機能を1つのTO-CANパッケージに集積し,基板との接続も容易にしたµBOSAを新規に開発し,このµBOSAを用いたPON ONU用の低コスト光トランシーバを実現した.パッシブアライメント技術の活用や,構造の単純化,高集積化により,低コスト化を可能にしている.また,電気特性,光學特性ともにGE-PON ONU用光トランシーバとして良好な特性を示した.これらの構造や特性について報告する.
波長可変機能を備えた10Gbit/s光トランスポンダを開発した.約0.4nm(50GHz)間隔で波長切り替えが可能で,C-band帯もしくはL-band帯のそれぞれ88波長に設定することができる.本製品は,業界標準である300pinMSAに準拠し,シングルモード光ファイバ80kmまでの伝送が可能である.ビットレートは9.95~11.3Gbit/sまで動作する.
FTTHにおける架空接続技術の一つとして,加入者切り替えを経済的に実現するためのコネクタ接続方式で,かつ現地での組立作業性に優れた,クロージャ內収納用の現場組立光コネクタを開発した.このコネクタは従來同様専用工具なしで組み立て可能であるという作業性を確保しつつ,限られたクロージャ內の収納スペースに搭載するため,従來の現場付けコネクタよりも斷面積を小さくしたことを特長としている.接続損失をはじめとした光學特性評価,信頼性試験においても良好な結果が得られている.さらに,従來の架空接続技術の一つであるメカニカルスプライス接続についても,不安定な架空での接続作業を想定し,新たな組み立て方式を採用した新型メカニカルスプライス接続工具を開発した.こちらも良好な光學特性,信頼性試験結果を得ている.
従來,フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit, FPC)と硬質基板(Rigid Printed Circuit,RPC)の接続には,コネクタや異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film, ACF)といった手段が用いられてきた.それらの代替接続技術として,はんだ接合による基板間接続を開発した.これはFPCのストレート端子上にはんだめっきをほどこし,RPCのストレート端子と向かいあわせて熱圧著する接続方法である.試作した結果,良好な接続形狀,接続強度,接続信頼性を得ることができた.
近年電子機器の小型化?高機能化にともない,搭載されるプリント配線板についても高密度化?薄型化の要求が高まっている.當社では,極薄で柔軟なフレキシブル部を有し,高密度な回路が可能な2段ビルドアップFPC6層基板を開発した.このFPC6層基板の開発には,薄く柔軟性に優れた層間接著材を導入し,層間接続でレーザ加工による貫通穴(レーザバイアホール,LVH)の形成方法をはじめとして多くのプロセス技術を確立した.開発した基板は,優れた耐熱衝撃性や耐マイグレーション性を有しており,高い信頼性が確保されている.
メンブレン配線板は導電ペーストをPETフィルム上にスクリーン印刷することで形成され,製造工程が単純で低コストであるという特徴のため需要が拡大している.近年,電子部品機器の小型軽量化に伴い,狹ピッチコネクタに対応したメンブレン配線板が要求されている.この市場ニーズにこたえるべく,新規導電ペーストを適用することで,耐マイグレーション性,低抵抗,およびコネクタ挿抜性に優れた0.3mmピッチコネクタ対応メンブレン配線板を開発した.
攜帯電話基地局のアンテナフィーダに使用される同軸ケーブルを開発している.良好なケーブル電気特性を得るためには,微細で均一な発泡狀態が必要である.當社ではこの用途に適したパーフロロポリマを使用して発泡技術を検討した.発泡セルの微細?均一化技術は重要であるにもかかわらず,良好な発泡體を得るための発泡過程の學術的な調査は非常に少ない.當社では発泡狀態を獨自の方法で解析し,押出工程における発泡メカニズムについて調査した.その解析データをもとに,発泡度70%を超える発泡絶縁體を作製した.
自動車に搭載される電子機器は増加する反面,ワイヤハーネスや自動車用部品は小型化および軽量化が求められている.これらの要求を満たすため,當社ではフラット配線材の車載検討を進めるとともに,フラット配線材用のコネクタとして抵抗溶接型コネクタを開発済みである.今回,信號回路および小電流回路に対象をしぼり,FPC用コネクタの低コスト化と小型化を目指して,新たにカードエッジコネクタを開発したので報告する.
次世代の小型半導體パッケージとして,ICを內蔵したポリイミド多層基板を開発した.本基板は,ポリイミドフィルムをベースとする回路層を積層することによって作製した.フィルムの圧著と同時にICを埋め込むプロセスを開発し,各層間の接続,およびICとの接続には導電性ペーストを採用した.ICにはウエハレベルで銅の再配線層を形成することにより,ペーストとの接続を可能にしている.また,85µmまでICを薄型化して埋め込んでいる.本基板は,JEDECLevel2のリフロテストとHAST試験に耐えることを確認した.
近年,攜帯電話に代表される電子機器の小型?軽量化,多機能化は急速に進展している.技術傾向として,配線材にも小型化と高速伝送化が必要不可欠となってきた.そこで當社では高速伝送に対応した極細同軸ケーブルを開発し,製品化を行った.本報では攜帯電話用ケーブルとしての極細同軸ケーブルの高速伝送特性と,次世代に向けたさらなる高速伝送用配線材を紹介する.