二本柳 明展
奧出 聡
田中 大一郎
スラント型ファイバグレーティング(SFBG)を用いることで,広帯域かつ等化偏差の小さい利得等化器を実現した.作製した広帯域SFBG利得等化器では,39nmの帯域幅で利得平坦性が0.19dBp-pという優れた特性を得た.さらにTelcordia GR-1209 coreおよびGR-1221 core準拠試験を行い,その高信頼性を確認した.
SバンドからLバンドにわたる高密度波長多重伝送(Dense Wavelength Division Multiplexing, DWDM)に対応したノンゼロ分散シフトファイバを開発した.本ファイバの分散スロープは,従來のノンゼロ分散シフトファイバの半分以下であり,広い波長範囲にわたり波長分散が小さい.このため,メトロコアネットワ-クにおいて分散補償器なしで1波あたり10Gbit/sのDWDM伝送が可能になる.さらに,通常シングルモード光ファイバ用の分散補償ファイバを用いた分散補償が可能であり,將來の40Gbit/s伝送への拡張に対応したファイバである
近年,企業ネットワークのLAN間接続において,回線障害,裝置障害などに備え,単一の回線,裝置だけではなく,複數の回線,裝置による冗長構成を希望するユーザが増加してきた.當社では,このような要請にこたえるべく,當社の製品であるアクセスルータFNX0532,FNX0550に,VRRP(Virtual RouterRedundancy Protocol)機能を搭載し,OSPF(Open Shortest Path First)プロトコルと組み合わせることにより,アクセス系ネットワークの冗長構成を実現したので報告する.
光ファイバを用いた映像監視システムにおいて,従來のアナログ光伝送方式を採用したシステムでは,伝送距離により性能が劣化するため,高品質の映像?音聲信號を長距離伝送することは困難であった.
また,監視カメラのズーム?フォーカス等の制御信號を伝送する場合には,専用の光リンクと光ファイバを用意する必要があった.
本報では,高品質な映像?音聲信號の長距離伝送を可能とするとともに,1心の光ファイバによる音聲?制御信號の雙方向伝送も可能とした裝置を紹介する.
この論文は直流同軸CVケーブルと工場ジョイントの開発について述べている.同軸ケーブルは主導體と主絶縁體,帰路導體と帰路絶縁體で構成されており,同軸ケーブルの採用は,「帰路回路のためのケーブルまたは電極を省略できる」「地磁気偏差(コンパスエラー)を軽減できる」など環境的,経済的に大きな利點がある.
このため,長距離海底ケーブルへの適用を目指して直流同軸CVケーブルと工場ジョイントが開発された.
サウジアラビアのジェッダ地區に380kV 2,500mm2 架橋ポリエチレン絶縁(CV)ケーブルを採用した長距離地中送電線路が2001年5月に完成した.この線路は既設の架空送電線から新たに建設されるアルジャミア変電所までの,亙長約5km,2回線を地中ケーブルで結ぶプロジェクトで,サウジアラビアの電力會社Saudi Electricity Company(WR)より當社がターンキーで受注した.以下に本プロジェクトについて報告する.
近年,産業廃棄物処分場の深刻な不足問題,ダイオキシンに代表される焼卻処分時の有害ガスによる大気汚染問題がクローズアップされてきており,廃棄物削減が重要な課題となっている.
當社は,環境にやさしくリサイクル性の高い「低比重エコ電線」を開発?販売しているが,そのリサイクル性の高さを名実ともに実証するために,このたび,世界で初めて多筒液體サイクロン方式プラスチック分別システムを鈴鹿事業所に設置し,稼動開始した.
このシステムは,回収電線を粉砕して銅を回収した殘りの混合被覆材料(エコ材料,ビニルおよびポリエチレン等)を裝置に投入し,各被覆材料をいちどにそれぞれ99%以上の高純度で分別回収できるものである.多筒式とは,エコ材回収サイクロン,ビニル回収サイクロンおよびポリエチレン回収サイクロンが連続して設備されているもので,裝置メーカである日立製作所と當社が共同開発した新しいリサイクルシステムである.分別処理量は,時間當り200kgで,連続運転が可能である.
PC,サーバ等の情報端末機器のインタフェースに対応する最近の高速伝送ケーブルには多くの種類がある.適用されるインタフェース規格によって物理層で規定されるケーブル,コネクタの仕様も異なる.現在最も代表的ないくつかについて適用箇所,特徴をまとめた.
HDDの用途は多様化しており,性能の向上も著しい.HDDに使用されているFPCに実裝されるプリアンプICの実裝方法として,最近では信號伝送の高速化への要求から,フリップチップ実裝が取り入れられてきている.
これらの需要にこたえるために,當社でもはんだバンプによるフリップチップを含んだ実裝プロセスを導入した.プロセス構築にあたり,諸條件や使用材料を検討し,信頼性を十分確認した上で量産化を行った.
當社では,抵抗,コンデンサチップやICを実裝したメンブレンスイッチ,透明タッチパネルと接続,複合化したメンブレンスイッチを製造,販売している.さらに,近年になって,スイッチ,ボリューム,筐體などの機構部品とメンブレンスイッチを複合化する要求が強まってきた.このようにモジュール化を進めることは,最終セットメーカの組立工數を削減できること,當社製品の付加価値が向上することのみならず,配線板レベルの設計をベースに機器設計を最適化することができるので,最終機器のコストダウン,小型化に貢獻が大きい.
このような流れに対応すべく,各種要素技術を開発し,メンブレンスイッチと機構部品を複合化したメンブレンスイッチモジュールの製品化に成功した.
ポリイミド系樹脂フィルムを用いた多層配線板は,高密度実裝への適合性に加え,良好な高周波?高速伝送特性が注目されている.當社は,獨自の製法を採用してきわめて安価に製造できる可能性を持った,次世代電子機器や半導體パッケージ用IVH多層配線板を開発した.この配線板はポリイミド系接著材を用いて回路形成したフィルム基材を一括積層することを特徴とする.ビアを直列に配置したデイジーチェーンを有する2層および3層の配線板を作製し,回路の抵抗値およびそのリフロー耐熱性などを評価した.