深澤 正和
田中 大一郎
西出 研二
偏波面保持WDM(PM-WDM)ファイバカプラは,偏波面を保持した信號光と勵起光を合波するデバイスであり,偏波面保持型EDFAのような増幅器に適用される.
今回,溶融延伸技術を基に全ファイバ型980/1,550nm帯 PM-WDMカプラの開発を行った.低挿入損失,低偏波クロストーク等の優れた光學特性,およびTelcordia GR-1209 core,GR-1221 coreの規格に準拠した信頼性試験により,高い信頼性を確保していることも確認された
高密度波長多重伝送システムにおける伝送帯域の拡大には,L-band(1,565-1,625nm)エルビウム添加光ファイバ増幅器(Erbium-doped Fiber Amplifier,以下EDFAと略す.)が非常に有効である.しかし,L-band EDFAの利得平坦度は動作狀態の変化や環境溫度の変化によって大きく劣化する.この2つの要因のうちどちらか一方による利得平坦度劣化を補償する方法が,これまでにいくつか報告されている.われわれはそのような利得傾斜補償法と同等の性能を維持したまま,EDFAの動作狀態変化と環境溫度変化による利得平坦度の劣化を同時に補償できる利得傾斜補償器を開発した.
高密度波長多重(DWDM)通信システムにおける光アドドロップ裝置あるいは小規模光クロスコネクト裝置への適用を目的に,基板導波路型(PLC)光スイッチを開発した.材料にフッ素化ポリイミド樹脂を採用し,熱光學効果により光信號の経路選択を行うものであり,制御の容易なデジタル応答特性が特徴である.本報では,試作した1×2型および2×2型光スイッチについて報告する.
Aeff拡大型SMFとSC-DCFを用いた分散スロープ補償型の複合線路について検討を行った.非線形実効斷面積(Aeff)を110から125µm2まで大きくしたAeff拡大型SMF,およびこれらのAeff拡大ファイバの分散ならびに分散スロープを補償する分散補償ファイバを試作した.試作したファイバを用いた複合線路は,70µm2を越える等価Aeffを示し,非線形光學効果の低減に有効であること,C-band,L-bandにわたる一括分散補償が可能であることを確認した.
PON(Passive Optical Network)型のFTTH(Fiber to the Home)網を用いて,ブロードバンドのIP(Internet Protocol)通信を効率的に実現するイーサネットPONシステムの機能,特徴を報告する.
本裝置は従來LAN(Local Area Network)で使用されてきたイーサネットのスイッチング(交換)技術を公衆網に適用するものである.公衆網ではLANに比べてセキュリティが重要になる.本裝置ではLANのスイッチング技術に工夫を加えて,高いセキュリティ機能を実現している.
光増幅器等の光モジュールやDWDM伝送には,様々な特性を持つファイバが多く使用されており,これらを融著接続する機會が近年飛躍的に増加している.従來の融著接続機に搭載されている損失推定方式はこれら特殊ファイバには充分に対応できないことが多かった.そこで,特に特殊ファイバを接続することを目的とした工場用融著接続機を対象として,新しい損失推定方式の検討を行った.コア歪みやMFDミスマッチなどの新しい損失パラメータを考慮することにより,損失推定機能の大幅な改善をはかった.
これまでに,水トリー劣化したCVケーブルの劣化診斷手法として殘留電荷測定法の検討を行ってきた.殘留電荷測定法においては,交流電圧をステップ狀に常時対地電圧程度まで複數回課電することにより得られる殘留電荷量分布が,絶縁體中の水トリー分布を反映していることを見出した.つまり,殘留電荷が放出される最高の交流課電電圧は,長い水トリーに起因している.この特性を利用し,殘留電荷が放出される最高の交流課電電圧を劣化指標として用いる新たな殘留電荷測定法を開発した.
送電線への著雪は,異常荷重やギャロッピング振動などの問題の原因となる場合がある.電線への著雪対策の一つとして,磁性材料でつくられた融雪用線材を電線に巻付け,ここから発生する熱により融雪する方法がすでに実用化されている.しかし,従來の融雪線材では冬季の潮流が少ない送電線において,融雪に必要な発熱量が十分に得られず適用できない場合があった.このため,既存の融雪線材の材料組成などを見直し,特に低潮流下での発熱量を増大させた高発熱融雪スパイラルを開発した.
環境への配慮から,電子機器の実裝に使用されるはんだ,はんだめっきの鉛フリー化が求められている.當社では,すでにフラットケーブル(フジカード)導體めっきの鉛フリー化対策を行い製品化している.今回,FPC端子部のはんだめっきの鉛フリー化を推進するため,種々のはんだめっき材料からSn-Cuめっきに絞り,採用に踏み切った.
ストレージエリアネットワーク(SAN)の広まりとともに伝送路の高速化の要求が出てきた.本報では高速伝送ケーブルの信號伝送方式と対內,対間スキューを低く押さえたケーブルの開発について報告する.
攜帯電話と同様にPDAなどの移動可能な電子情報機器にEメールやインターネットなどの機能を付け加えようととすると,今日では,透明タッチパネルがそれら攜帯端末に付屬するインタフェース用部品として重要な役割を演じていることを,直ちにかつ明確に認識させられる.それゆえ,タッチパネルの需要が急速に伸びることが期待できるとの予測のもとに,抵抗膜式透明タッチパネルを開発した.さらに,この抵抗膜式透明タッチパネルが,上述した応用において,その出力性能や信頼性などに関する従來の仕様を満足させることも確認した.
R-R印刷技術は高精細回路重ね印刷を用いて,薄いPET基材への回路形成を可能にすることを目的に開発された新しい技術である.この開発により,厚さ25µm以下のPET基材上に0.18mmピッチ以下の回路への重ね印刷が高精度に行えるようになった.
本報では,この印刷技術の特徴を紹介する.さらに従來の印刷方式では不可能であったが,本ラインの導入によって初めて製品化できた製品についても紹介する.
厚いシリコン基板の表裏を導通する高アスペクト比の貫通配線を形成するための要素技術を開発した.この貫通配線は,半導體デバイスの3次元積層あるいはMicro Optical Electro-Mechanical System(MOEMS)デバイスのパッケージングに応用が期待される.光アシスト電解エッチング法および溶融金屬吸引法を用いて,厚さ500µm前後のシリコン基板へ金屬を充填した貫通孔を試作した.貫通孔の直徑は15µmでアスペクト比は35,貫通孔の形成密度は最大500本/cm2,絶縁耐圧は500V以上であった.またKr-85を用いたラジオアイソトープリークテストの結果,貫通配線でのリークレートは検出限界以下(1×10-15Pa?m3/s)であった.
當社の酸素センサは長壽命,高精度さらにメンテナンス不要という特長を持ち,ppmレベルの低濃度から90%を超える高濃度までの広い濃度範囲を測定できる.センサの特性に大きな影響を與える動作溫度を正確にそして安価に制御するため,組込型マイクロコントローラを使用した酸素センサヒータの定電力駆動回路が有効である.