バックナンバー Fujikura Technical Review
ネットワークトラフィックの増大に伴い,光ファイバ1 本あたりの入射光量が増えていくことが予想されている.光ファイバへの入射光量が増えると,伝送路や光源に致命的なダメージをおよぼすファイバヒューズが発生する可能性が大きくなる.そこで當社では,ファイバヒューズ耐性を持つ可能性のある空孔アシストファイバ( HAF)のファイバヒューズの評価を行ったので,その結果を報告する.
光符號分割多重アクセス(OCDMA)技術は,ユーザ毎に異なる符號を割り當てることで多重化を行うアクセス技術であり,光アクセスネットワークの高速化?大容量化を実現する技術として注目されている.今回われわれは,位相シフト超構造ファイバブラッググレーティング(SSFBG)を用いた光符號?復號器の改良を行い,また,中央局にマルチポート光符號?復號器,各ユーザ端末裝置にSSFBG 光符號?復號器を配置したOCDMA ネットワークを構築し,10 Gbps × 8 ユーザでのフィールド伝送試験を行った.
偏波保持光ファイバで最も多く使用されているのはPANDAファイバであるが,一部用途においては斷面がD形の光ファイバが使用される. 融著接続機開発グループでは,光ファイバ融著接続技術開発としてこのD 形の偏波保持光ファイバを融著接続する方法の開発を行い,その方法を現行融著接続機に新機能として追加した.
現場付けコネクタやメカニカルスプライスの市場では,低価格で切斷性能が安定した単心専用の光ファイバカッタに対する強い要求がある.また,斜め切斷を用いた低反射現場付けコネクタの普及に伴い,現場付け用の斜め切斷光ファイバカッタに対する市場要求も高まっている.今回,これらの要求に応えるべく,低価格と安定した切斷性能を両立させた単心専用光ファイバカッタと斜め切斷光ファイバカッタを開発した.
次世代光アクセスシステムとして,10Gbit/s という高速な通信を各加入者宅まで提供可能な,10Gbit/s Ethernet Passive Optical Network(10G-EPON)システムの開発が活発である.すでに1Gbit/s のEPON(1G-EPON)が普及している日本のような市場においては,OLT に1G,10G 両方の伝送レートでバースト信號受信機能が必要とされる.當社では,1G,10G 光受信機能に加え, 1G の光送信機能と10G の光送信機能を一體化した光トランシーバを開発し,良好な特性を得た.
電子機器の小型?薄型化にともない,機器內の基板上に実裝される受動部品のサイズは,従來の0603(0.6× 0.3 × 0.6 mm)から0402(0.4 × 0.2 × 0.4 mm)へ移行するものと予測されている.フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit, FPC)は機器內の3 次元配線として用いられるだけでなく,受動部品をはじめとする様々な部品がはんだで実裝される.そこで,將來的なFPC 上での0402 チップ部品の実裝に向け,基板設計からリフローはんだ付け工程にいたるまでの要素技術を確立した.
植物由來ポリマであるポリ乳酸は,生分解特性だけでなく,化石資源の節約やCO2 発生量低減の観點から,対環境性の良いプラスチックといわれており,その利用範囲も確実に増えている.當社では,前報(フジクラ技報113號,2008年1月)でポリ乳酸絶縁電線を試作し,評価した結果,柔軟性を持つポリ乳酸絶縁電線の可能性を示した.今回,熱の影響に関する新たな知見が得られたので報告する.
色素増感太陽電池において,対極は発電極で酸化された電解質を還元する役割を擔っている.従來,対極には還元性能と耐食性の観點から白金が用いられてきた.しかし白金電極も,ヨウ素電解液中での耐食性が不十分な面や,コストの面でまだ課題があり,より高耐食で低コストの材料が望まれている.炭素材料はこれらの課題に対する有力な候補であり,中でも魅力的な材料であるカーボンナノチューブに著目し開発を行った.今回,還元性能に優れた電極を開発し,色素増感太陽電池の対極への応用を検討したので報告する.
次世代の貫通配線技術として,基板內部で屈曲や分岐した3 次元構造を有する微細配線-トゥルー3次元配線-技術を開発した.この技術を用いれば基板內部を自由に配線することができるため,従來の直線形狀のみの貫通配線と比較して,より高密度で自由度の高い電子デバイスパッケージの実現が期待できる.本論文では,トゥルー3 次元配線の作製方法,および作製したトゥルー3 次元配線の構造的評価や電気的特性について述べる.さらに応用例の一つとして,本配線技術を用いたインターポーザを試作し評価した結果についても報告する.
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