細 野 亮 平
官 寧
ミリ波帯を利用したGbpsを越える高速大容量無線通信が可能になりつつある今日,60GHz帯で動作する無線通信機器は重要性を増している.ミリ波帯において無線通信裝置を構成するための要素技術として,LCP基板を用いたマイクロストリップ線路とポスト壁導波路間のモード変換器を実現した.ポスト壁導波路の伝送損失は60GHzにおいて0.09dB/mm, モード変換に関わる損失は0.6dBであった.
光通信の伝送容量を飛躍的に拡大するための技術として,マルチコアファイバを用いた空間多重技術の研究開発が世界中で活発化している.マルチコアファイバの設計においては,低クロストークと高密度コア配置の両立が求められている.本稿では,高密度コア配置が可能として多數のマルチコアファイバに採用された六方最密配置に內在する課題を明らかにし,その課題を解決するために提案した二種ピッチ配置と単リング配置について説明する.単リング配置を用いた12コアファイバにより,初めてファイバ1本あたり1 Pb/sを超える大容量伝送が実現した.
情報通信機器のさらなる高速化に対応するため,光デバイスとプリント回路基板の間をつなぐ高速光伝送用ガラスインターポーザを開発した.ガラスは絶縁體であるため,伝送線路から基板へ信號が漏洩する懸念がなく,高速伝送が期待できる.また,ガラスは透過率に優れることから,光デバイスのパッケージで使用するインターポーザとして有望である.本論文では,ガラスインターポーザの作製方法,および作製したガラスインターポーザの構造的評価や電気的特性について報告する.
次世代光伝送システムの必須技術として,デジタルコヒーレント方式が期待されている.従來の強度変調?直接検波方式と比べて,受光感度や周波數利用効率が向上し,強力な波形等化機能により波長分散や偏波モード分散などの線形波形歪を補償できる利點がある.本稿では,新たに開発したデジタルコヒーレント方式の100Gbit/s長距離光トランスポンダを紹介する.本製品は,業界標準であるOIF-MSAに準拠している.システム要求により追加可能なオプションとして,パルスカーバと可変光減衰器を內蔵することができる.
Fiber To The Home(FTTH)サービスの更なる拡大には,既設ビルやルーラルネットワークへの光ファイバ敷設がかぎとなる.特に,小規模な既設住宅では,光インドアケーブルを敷設するためのスペースがほとんどないことが多い.このような環境においても,短い余長の光ファイバ同士を,特別な工具を用いず,安価に接続できる技術が求められてきた.この目的のため,ルーラルネットワーク用の光ファイバ接続部材を,専用の治具とともに開発し,接続部の光學特性,信頼性を評価した.その良好な結果を報告する.
光ファイバの接続を必要とする通信インフラ工事は,新興國において依然として増加傾向にある.光ファイバを高品質で接続する融著接続は,信頼性の高い接続方式である.しかし,融著接続作業は多くの操作を含んでいるため,作業を習得するための練習が必要である.不慣れな作業者であっても簡単に光ファイバが融著接続可能な融著接続機が,市場から常に求められている.また,光ファイバの接続本數が多い敷設工事では,接続時間の短縮も要求される.今回これらの要望に応えるべく,新型のコア調心融著接続機を開発した.
運転中のケーブルを対象とした部分放電(PD)検出裝置を開発した.裝置は,部分放電の電流パルスを検出するCTと堅牢なアタッシュケースに収納した信號処理裝置およびパソコンで構成され,分割型CTを運転中ケーブルの接地線にクランプすることで放電パルス信號を検出するものである.
ここでは,放電パルス信號の検出手法と作業性をふまえた裝置機能について紹介する.また,実験室での検証結果と実際の活線ケーブルで得られた放電波形の事例から本手法の妥當性を示すとともに,AMラジオ放送波など,環境ノイズによる測定阻害とその対応についても例示する.
超電導ケーブルは,高電流密度,低交流損失という特長とともに,省エネ,CO2削減効果,漏れ磁界なし等,環境面でのメリットも有し,大容量(大電流)送電コンパクト型電力ケーブルとしての適用が期待されている.大電流?低交流損失ケーブル化技術を開発するに當たってのキーテクノロジーは導體化技術である.當社では1991年にイットリウム系高溫超電導線の製法に関する當社獨自のIBAD法の開発に成功して以來,精力的にイットリウム系超電導線の開発を行ってきた.2011年には臨界電流(Ic)572A,長さ(L)816.4mの超電導線の製作に成功し,臨界電流(Ic)と長さ(L)の積であるIcL値が466,981Amという世界記録を更新した.今回,この世界最大級のIc=500 A/cm-w(@77K, s.f.)以上のイットリウム系IBAD線を初めてケーブルに適用し,期待される高特性が検証されたのでその概要を報告する.
近年,環境意識の高まりを受けて,環境や人體への安全性が高い難燃材料が注目されている.當社でもケーブル被覆材料のハロゲンフリー化に取り組んでおり,現在では各種ケーブルに適用されている.その難燃化技術を応用してハロゲンフリー高難燃シートを開発した.このシートはPVCと比較して燃焼時に発煙が少ないという長所があり,0.2mm以上の厚みでUL94 V-0の難燃規格相當であることを確認した.本製品は,環境性能の向上と難燃性の向上が今後必要となる分野への展開が期待できる.
窒化アルミニウム(AlN)単結晶はAlN系半導體からなる低損失電子デバイスや深紫外発光デバイス用の基板として有望である.當社では,炭化珪素(SiC)を種結晶とした昇華法によるAlN単結晶成長技術を開発している.成長初期に著目して行った表面モフォロジー観察により,SiC上のピラミッド(六角錐狀小丘)形成およびAlN核生成の各プロセスについて新規なモデルを導き出し,提案する.また,AlNの島狀結晶とピラミッドのファセットは見かけ上30度ずれていたが,結晶學的評価により,両者の面內配向は揃っていることを明らかにする.